公開 2026.10.17 文:中谷英峰(マルニンベン株式会社)

「求める人材像」が社内でそろわないときの合わせ方|カードを使った60分の会議手順

この記事のポイント「求める人材像」が社内でそろわないのは、同じ言葉でも人によって思い浮かべる行動が違うからです。①広く選ぶ → ②必須を5〜7個に絞る → ③自社の言葉で行動に書き直すの3段階を、経営層と人事・現場の代表で一緒に行うと、60分ほどでズレが見え、そろえることができます。

「社長は『主体性のある人』と言うが、部長は『指示どおり正確にやる人』を評価している」。人材要件を決めようとすると、こうしたズレに必ずぶつかります。この記事では、研修体系づくりのワークショップで実際に使っている、カードを使って求める人材像をそろえる手順を紹介します。

なぜ「求める人材像」はそろわないのか

ズレの原因は、考え方の違いよりも言葉の解像度にあることがほとんどです。

  • 「コミュニケーション力」と言っても、社長は「お客様に提案できる力」、現場は「報連相ができる力」を思い浮かべている
  • 「リーダーシップ」と言っても、部長は「チームを引っ張る力」、人事は「後輩を育てる力」を想定している
  • それぞれが自分の経験から「必要な力」を語るため、話し合っても抽象的な言葉の並べ合いになる

そこで有効なのが、あらかじめ用意した能力の一覧(カード)から選ぶ方法です。ゼロから言葉を出し合うより、同じ選択肢を前に「選ぶ・選ばない」を比べるほうが、ズレがはっきり見えます。

60分でそろえる手順

参加者は、経営層(社長や役員)、人事、現場の部長や課長の代表で4〜6名が目安です。人材要件.comの無料ツールを使う場合は、1台の画面を全員で囲んで進めます。

STEP1:広く選ぶ(15分)

「この会社で活躍している人」を具体的に一人思い浮かべてもらい、その人が持っている力を、32枚のカードから選びます。ここでは絞り込まず、多めに選ぶのがコツです。誰かが選んだカードを、他の人が否定しないルールにします。

STEP2:必須を絞り込む(20分)

選んだカードを「必須」「歓迎」「外す」に振り分けます。合言葉は「もし一つだけ残すなら?」です。必須は5〜7枚を目安にします。

この段階で、ズレが一番はっきり出ます。社長が「必須」に入れたカードを部長が「歓迎」に置こうとする。そこで「なぜ必須だと思うのか」を話してもらうと、経営が見ている将来の課題と、現場が見ている今の課題の違いが言葉になります。このやり取りこそが、このワークの目的です。

STEP3:自社の言葉で行動に書き直す(20分)

必須に残したカードについて、「自社では、どんな行動がとれたら合格か」を書きます。カードの名前のままでは、採用や評価に使えないからです。

カード 抽象的なままの言い方 行動に書き直した例
問題解決 問題解決力がある 不具合が出たとき、原因を3つ以上挙げて、対策案を添えて上司に報告できる
コミュニケーション コミュ力が高い 他部署と納期や仕様のずれがあったとき、自分から調整の場を設けられる
指導・育成 後輩の面倒見がよい 後輩の作業を見て、その場で手本を見せ、やらせてみて、良い点と直す点を伝えられる
チャレンジ・モチベーション 主体性がある 指示を待たず、月に1件は自分の担当範囲の改善を提案し、実行まで進める
お客様満足(CS) 顧客志向 お客様の要望を聞いたら、24時間以内に対応方針を連絡する
スピード・段取り 仕事が早い 週の初めに1週間の段取りを立て、納期の3日前には上司に進捗を共有している

書き直すときは、「誰が見ても、できた・できていないが判断できるか」を基準にします。ここで書いた文章が、そのまま採用面接の質問や評価項目の土台になります。

STEP4:残りの5分で「次にやること」を決める

最後に、そろえた人材要件を何に使うかを決めます。採用基準に反映する、評価項目を見直す、来期の研修計画に反映する、などです。人材要件.comのツールでは、選んだ必須・歓迎の力が新人〜管理職の階層別研修体系の草案に自動で並ぶので、そのまま研修計画の議論に進めます。研修体系全体の組み立て方は研修体系の作り方をご覧ください。

進め方のコツ

進行役は人事が務め、社長に最初に話させない

社長が最初に意見を言うと、他の参加者がそれに合わせてしまいます。STEP2では、現場の代表から先に「なぜ必須か」を話してもらいましょう。

ズレを「解消」しようと急がない

意見が分かれたカードは、無理に一つにまとめる必要はありません。「経営は3年後を見て必須、現場は今の課題として歓迎」のように、ズレの理由を言葉にして残すだけでも大きな前進です。

部署ごとに別々にやって比べるのも有効

営業部と製造部でそれぞれワークを行い、結果を並べると、部門ごとに必要な力の違いが見えます。全社共通の要件と、部門別の要件を分けて考えるきっかけになります。

まとめ

  • 求める人材像のズレは、言葉の解像度の違いから生まれる
  • 同じカードの一覧から「選ぶ・絞る」と、ズレがはっきり見える
  • 必須は5〜7個に絞り、自社の言葉で「行動」に書き直す
  • そろえた人材要件は、採用・評価・研修計画の共通の土台になる

人材要件.comの無料ツールは、この手順をそのまま画面上で進められるようにしたものです。登録不要で、途中でやめても続きから再開できます。次の経営会議や部長会議で、ぜひ試してみてください。

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