研修を「やりっぱなし」にしない仕組み|研修前後の上司面談と行動計画書の回し方
「研修の満足度アンケートは高いのに、職場の行動が変わらない」。研修担当の方から最も多く聞く悩みの一つです。原因の多くは研修の内容ではなく、研修の前後に何も起きていないことにあります。この記事では、研修会社として実際に運用してきた、研修前後の仕組みの回し方を紹介します。
なぜ研修の効果は続かないのか
研修で学んだことは、職場に戻ってから使って初めて身につきます。ところが現場に戻ると、次のような状態がよく起きます。
- 上司が、部下が何の研修を受けたのかを知らない
- 研修で決めた行動を試す機会や時間がない
- 試してうまくいかなかったとき、相談する相手がいない
- 数か月後に、誰も結果を確認しない
つまり、研修と職場がつながっていないのです。これをつなぐのが上司と行動計画書、そしてそれを運営する研修事務局(人事)です。
研修前後の流れ(3か月サイクル)
ここでは、2日間の研修を3か月ごとに行う場合の流れを例にします。
| 時期 | 受講者 | 上司 | 研修事務局(人事) |
|---|---|---|---|
| 研修の1か月前 | 研修案内を受け取る | - | 受講指示書・研修案内を発行 |
| 研修の1週間前 | 研修で何を得たいかを考える | 事前の動機づけ面談 | 面談の実施を確認 |
| 研修当日 | 受講し、最後に行動計画書を書く | - | アンケートと行動計画書を回収 |
| 研修後2日以内 | 研修報告書と行動計画書を上司に提出 | 研修後の面談 | 行動計画書を上司・講師に共有 |
| 研修後2か月目 | 行動計画を実行 | 中間フォロー面談 | - |
| 次の研修の2日前 | 結果をまとめて上司に報告 | 結果確認の面談 | 結果を回収し、次の研修と人事評価に活かす |
この流れが1回できると、次の研修の冒頭で前回の行動計画を振り返れるようになり、研修が「点」から「線」になります。
上司面談で話すこと
仕組みの中心は3回の上司面談です。それぞれ10〜15分で構いません。大事なのは時間の長さではなく、上司が部下の研修に関心を持っていると伝わることです。
1. 事前の動機づけ面談(研修の1週間前)
- なぜ今回この研修を受けてもらうのか、上司の期待を伝える
- 研修で特に何を持ち帰ってほしいかを話し合う
- 研修後の面談の日程をこの場で決めておく
2. 研修後の面談(研修後2日以内)
- 行動計画書の内容を詳しく聞く
- 研修で気づいたこと、発見したことを聞く
- 否定から入らず、良い点を見つけて認める
- 中間フォロー面談と結果報告の日程を決め、行動計画書にコメントを書く
3. 中間フォロー面談(2か月目)と結果確認の面談(次の研修前)
- 計画どおり進んでいるかを聞く。遅れていれば原因と今後の予定を一緒に考える
- できたことは褒め、できなかったことは理由を聞いて次の手を決める
- 最後に労いの言葉をかけ、行動計画書にコメントを残す
行動計画書のつくり方
行動計画書は、研修の最後に受講者が書く1枚のシートです。書くことは次の4つで十分です。
- 研修で学んだこと(一番大事だと思ったこと)
- 職場で実践すること(具体的な行動。「意識する」ではなく「毎週月曜に〜する」のように書く)
- いつまでに、どうなっていれば成功か
- 上司へのお願い(支援してほしいこと)
講師が行動計画書に一言コメントを返す、受講者が次の研修までの間に講師にメールで相談できる、という仕組みを加えると、実践の継続率がさらに上がります。
効果を測るには
研修の効果測定は、満足度アンケートだけでは不十分です。おすすめは、研修シリーズの前後で本人と上司・部下(5〜6名)による360度評価を行い、行動の変化を比べる方法です。毎回の行動計画書の結果とあわせて見ると、どの研修が職場の変化につながったかが分かり、翌年の研修体系の見直しに使えます。
まとめ:研修は「前後」で設計する
- 研修の効果は、研修の前後に何が起きるかで決まる
- 上司面談は事前・事後・中間の3回。短くてよいので必ず実施する
- 行動計画書で「次の研修までに何をするか」を具体的に決める
- 人事は、面談と振り返りが自然に回る仕組みを用意する
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