公開 2026.10.16 更新 2026.10.17 文:中谷英峰(マルニンベン株式会社)

研修を「やりっぱなし」にしない仕組み|研修前後の上司面談と行動計画書の回し方

この記事のポイント研修の効果は、研修当日よりも前後の仕組みで決まります。研修の1週間前に上司と面談し、研修のあとに「行動計画書」を書き、3か月かけて上司と一緒に実行と振り返りを回す。この流れを人事が仕組みとして用意することが、研修を「やりっぱなし」にしない一番の方法です。

「研修の満足度アンケートは高いのに、職場の行動が変わらない」。研修担当の方から最も多く聞く悩みの一つです。原因の多くは研修の内容ではなく、研修の前後に何も起きていないことにあります。この記事では、研修会社として実際に運用してきた、研修前後の仕組みの回し方を紹介します。

なぜ研修の効果は続かないのか

研修で学んだことは、職場に戻ってから使って初めて身につきます。ところが現場に戻ると、次のような状態がよく起きます。

  • 上司が、部下が何の研修を受けたのかを知らない
  • 研修で決めた行動を試す機会や時間がない
  • 試してうまくいかなかったとき、相談する相手がいない
  • 数か月後に、誰も結果を確認しない

つまり、研修と職場がつながっていないのです。これをつなぐのが上司と行動計画書、そしてそれを運営する研修事務局(人事)です。

研修前後の流れ(3か月サイクル)

ここでは、2日間の研修を3か月ごとに行う場合の流れを例にします。

時期 受講者 上司 研修事務局(人事)
研修の1か月前 研修案内を受け取る - 受講指示書・研修案内を発行
研修の1週間前 研修で何を得たいかを考える 事前の動機づけ面談 面談の実施を確認
研修当日 受講し、最後に行動計画書を書く - アンケートと行動計画書を回収
研修後2日以内 研修報告書と行動計画書を上司に提出 研修後の面談 行動計画書を上司・講師に共有
研修後2か月目 行動計画を実行 中間フォロー面談 -
次の研修の2日前 結果をまとめて上司に報告 結果確認の面談 結果を回収し、次の研修と人事評価に活かす

この流れが1回できると、次の研修の冒頭で前回の行動計画を振り返れるようになり、研修が「点」から「線」になります。

上司面談で話すこと

仕組みの中心は3回の上司面談です。それぞれ10〜15分で構いません。大事なのは時間の長さではなく、上司が部下の研修に関心を持っていると伝わることです。

1. 事前の動機づけ面談(研修の1週間前)

  • なぜ今回この研修を受けてもらうのか、上司の期待を伝える
  • 研修で特に何を持ち帰ってほしいかを話し合う
  • 研修後の面談の日程をこの場で決めておく

2. 研修後の面談(研修後2日以内)

  • 行動計画書の内容を詳しく聞く
  • 研修で気づいたこと、発見したことを聞く
  • 否定から入らず、良い点を見つけて認める
  • 中間フォロー面談と結果報告の日程を決め、行動計画書にコメントを書く

3. 中間フォロー面談(2か月目)と結果確認の面談(次の研修前)

  • 計画どおり進んでいるかを聞く。遅れていれば原因と今後の予定を一緒に考える
  • できたことは褒め、できなかったことは理由を聞いて次の手を決める
  • 最後に労いの言葉をかけ、行動計画書にコメントを残す
人事の方へのヒント:上司面談は「やってください」とお願いするだけでは実施されません。面談の質問例を1枚にまとめて上司に配る、面談の日程を研修案内と一緒に決める、行動計画書に上司のコメント欄を設ける、など、やらざるを得ない形にしておくのがコツです。

行動計画書のつくり方

行動計画書は、研修の最後に受講者が書く1枚のシートです。書くことは次の4つで十分です。

  1. 研修で学んだこと(一番大事だと思ったこと)
  2. 職場で実践すること(具体的な行動。「意識する」ではなく「毎週月曜に〜する」のように書く)
  3. いつまでに、どうなっていれば成功か
  4. 上司へのお願い(支援してほしいこと)

講師が行動計画書に一言コメントを返す、受講者が次の研修までの間に講師にメールで相談できる、という仕組みを加えると、実践の継続率がさらに上がります。

効果を測るには

研修の効果測定は、満足度アンケートだけでは不十分です。おすすめは、研修シリーズの前後で本人と上司・部下(5〜6名)による360度評価を行い、行動の変化を比べる方法です。毎回の行動計画書の結果とあわせて見ると、どの研修が職場の変化につながったかが分かり、翌年の研修体系の見直しに使えます。

まとめ:研修は「前後」で設計する

  • 研修の効果は、研修の前後に何が起きるかで決まる
  • 上司面談は事前・事後・中間の3回。短くてよいので必ず実施する
  • 行動計画書で「次の研修までに何をするか」を具体的に決める
  • 人事は、面談と振り返りが自然に回る仕組みを用意する

研修前後の仕組みを考えるときは、まず「どの力を育てたいのか」がそろっていることが前提になります。人材要件.comの無料ツールでは、必要な力を選んで絞り込むだけで、人材要件と階層別研修体系の草案ができます。研修計画の見直しの出発点として使ってみてください。

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